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「異界のブレイドと始まりの村のモブ少女」作者:堂道形人様

小説
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こちらの記事は私が読んで「面白い」と思ったオススメのWeb小説をご紹介しようというものです!

第十四回は、堂道形人様の「異界のブレイドと始まりの村のモブ少女」です!

 

作品閲覧はこちらからどうぞ!

異界のブレイドと始まりの村のモブ少女
村の入り口で旅人に村の名前を教えてくれる、少し可愛いくらいの// 無料オンライン小説です

あらすじ(作品より一部引用)

村の入り口で旅人に村の名前を教えてくれる、少し可愛いくらいの平凡な少女。
しかし彼女は物語の始まりのチュートリアルの中で死んでしまう運命にあった!?
多重に仕組まれた死亡フラグを次々へし折り、活路を開く主人公。そしてフラグ不良でメインクエストが始まらなくなった世界のチュートリアル村で、仮初めの親子としての二人の明るくのんきな田舎生活が始まる。

しかし周り続ける運命の歯車は、徐々に二人への包囲を狭めて行く……

(ノベルゲーム風)試し読み

 俺は湖を見下ろせる森の中に居た。

 背負っていた袋にはリンゴが何個かと、手袋が入っている。

 リンゴを食べても良かったが……別に腹は減ってないようなのでやめておく。

 する事を思いつかない。目の前には道のようなものがあるので、とりあえずそれに沿って歩いて行く。

 ここはどこだっけ……

 暫く歩いて行くと、遠くに石造りの塀と丸太組みの門が見えて来た。

 村でもあるのかな。とりあえず行ってみるか。

 なだらかな上り坂を、俺はゆっくりと登って行く……

 ふと見ると、道端でせっせと野草を集めている少女が居る。

 とりたてて凄い美少女というわけではないが、目鼻立ちの良い可愛いらしい子だ。年の頃は十二、三という所か。

 声を掛けようかと思った俺は、一瞬のためらいを覚える。

 何故だろう? つい最近まで俺は、少女に声を掛ける事が許されない世界に居たような気がするのだ。

 世界? 何の事だろう……

 ……

「こんにちは」

 そんな事を考えながら立ち止まっていると、少女の方が俺に気付き、声を掛けてくれた。

「あなたは旅の人? ここはメリダの村よ」

 メリダ…知っているような、知らないような……

 何だろう、この違和感。メリダがどうこうではなく……例えば俺は……目の前に知らない人が現れた時に「ここは蒲田駅西口商店街だぞ」などととっさに言う事が出来るだろうか?

 ……?

 あれ?

 今俺は……何を考えた? カマ……ニシ……? あれ……何かが……頭の中から消えて行くような気がする……

「宿屋を探しているの? この村には無いけど、この先のベラルクスという町にならあるわ」

 少女が笑顔でそう言った。あまり長くない栗色の髪を二つくくりにしている。中肉中背、手足も長過ぎず短過ぎず……ごく普通の、健康そうな娘さんだ……って、いつまで見てるんだ俺。

「ああ、ありがとう」

 少女は挙動不審の俺に戸惑う事もなく…軽く会釈をした。

 いい子だな。

 次の瞬間だった。

 ――ドコオォォォォォォォォ!!

 大きな爆発音がした。そしてたちどころに巨大な焔が巻き上がる……村の中から!

「……大変!」

 少女が駆け出す…村の方へだ!

「危ない! よせ!」

 少し遅れて俺も走り出す。

 少女の足は予想外に速かった。このままでは追いつけない……

 その時だ。俺の頭の中で何かが閃いた。

 通常より速く走る方法がある?

 ただしスタミナを大きく消費すると……

 あれこれ考えている場合じゃない。俺は閃いたその方法で加速する!

 みるみるうちに、少女の背中が近づいて来た。

 これならギリギリ、村の門の手前で追いつけるかもしれない。

 

「お母さん! お父さん!」

 少女は走りながら叫んだ。

 何故この子は、たった今大爆発が起きた所へ全力で走って行くんだ!?

 まだどんな危険が待っているかも解らないのに!

 俺の「通常より速い全力ダッシュ」は確かに早く、そしてスタミナの消耗が激しかった。まずい、追いつく前にスタミナが尽きる可能性が……間に合え! 間に合え!

「よせ!」

 間一髪だった!

 ――ゴワァアアアアアア!

 ギリギリで少女の前に飛び出した俺が見たのは、村の広場の中央で炸裂する火の玉だった!

「キャアッ!」

 少女は俺の背中にぶち当たった。俺は正面から少し炎を浴びた!

 くそ熱…くない?

「近づくな! 離れろ!」

 俺は振り向いて少女を見た。かなり驚いてはいるようだが、正気は失っていないようだ。

「村に……お父さんとお母さんが!」

「俺が行くから! その塀の影に……」

 そう言い掛けた俺の上から……何かの影が覆いかぶさった……

 ドラゴン……

 俺は何故かその生き物を知っていた。翼を持ち火を吹くトカゲ。強大で傲慢な魔獣の王。

 次の瞬間、旋風と砂嵐が舞い、俺は視界を失った。

「ぐっ……」

 ――グアアァァァァァッ!!

 頭上で咆哮を上げるドラゴン!

 ……危ない!

 俺はろくに目も見えぬまま、村の石塀の方へ駆け寄る!

「返事をしてくれ!」

「は……はい!」

 俺は声のした方に手を伸ばす。砂嵐が一瞬晴れ……

 泣きそうな顔の少女が見えた……

 俺は押し倒す勢いで、というより完全に少女を押し倒して地面に伏せさせる。

 同時に凄まじい破砕音が俺達を包む!

 ドラゴンが村の門柱に着地しそれを粉砕したのだ!

 ――ギエエエエェェェェ!!

 再び咆哮を上げ離陸して行くドラゴン。

 くそっ! 何だってんだ!

「お、おい! 無事か!」

 俺は…名前を知らない少女に呼びかける。無事か!? 無事であってくれ!!

「は、はい……でも!」

 砂嵐がようやく晴れて来る。俺は立ち上がり、少女を助け起こす。

 細かいすり傷などは負っているようだが、どうにか無事のようだ……俺ではない、その少女が。

「あなたが怪我を……!」

 そう。俺は正面から火の玉の爆風を浴びた火傷と、背中に降り注いだ石や丸太によるダメージを受けていた……はずだった。

 実際、何ともない訳ではないのだが……奇妙だ。受けたダメージは俺の行動を何らさまたげる物ではないらしい……普通、例えば足を強打されれば、全力で走る事など出来なくなると思う。

 だけど今の俺は、死ぬ直前まで全力で動けるらしい。何故かは解らないが、それがはっきりと解る。

 

「……私の家!」

 少女が思い出したように叫ぶ。

 ドラゴンはどこへ行った……まだ遠くへは行ってないような気がする。

 今度は少女の行動を予測していた俺は、少女が駆け出す方向について行く。

 他の村人も逃げまどっていた。

「家の中も危険だ! 地下室へ逃げろ!」

 どこかで誰かが叫ぶ。

 村の家の何件かは炎上していた。ドラゴンに乗りかかられ、物理的に破壊された家もある。確かに建物の中に逃げるのは無意味なように見えた。

「お父さん! お母さん!」

 少女が立ち止まり、叫んだ……何てこった……その家は既に踏み潰された上、炎上していた。

「危ない! よせ!」

「中に! 中にお母さんが! お父さんが!」

「俺が行くから君は地下室に逃げろ!」

「いやア! お母さん!」

 背後からドラゴンが迫って来る気配がする……まだ少し遠いが、確実に向かって来ている!

 その瞬間……俺の脳裏に……何かの光景が見えた。

 ……

 本当に、本当に刹那の間に見えた二つのビジョンが……

 一つめ。一人でここを離れる。俺は生きるが、少女は崩れた家に飛び込み……両親と共に死ぬ。

 二つめ。強引に少女を避難させようとする。もみ合ううちに飛来したドラゴンが吐く炎を浴び、俺はギリギリ生き残るが少女は死ぬ。

 俺は目の前の崩れて炎上する家の中に、少女と共に飛び込んだ!

 すぐ後ろに迫ったドラゴンが尚も炎を浴びせて来る!

「キャアアアアアア!」

 叫ぶ少女を俺は背中で庇う! 頼む! 頼む生き延びてくれ!

 ドラゴンは上空を通過して行った。

 崩れ、燃え上がる家が、ギリギリ……俺の背中と、俺の背中で隠した少女を守ってくれたのだ。

 だが……俺と少女は、這いつくばったまま、それを見た。

 瓦礫に埋もれ、手をつないだまま事切れている、一組の夫婦を……

 声にならない嗚咽を上げる少女。

 こんな時、何て言えばいいんだろう。

 俺は、床に泣き崩れた少女に、無理やり顔を上げさせた。

「お前は!! 生きろ!!」

「……パパ……ママ……無理……です……一人で……なんて……」

「無理じゃねえ!! お前のパパとママの最後の願いだぞ!! お前は生きろ!! 絶対に生きろ!!!」

 何故そうなのかは、本当に解らない。

 色々な可能性の中で……この少女が生き残る事は、予定されていなかったような気がしてならない。

 勿論、何故そんな事が許されるのかなど解る訳がない。何故この子が死ななきゃならないんだ? この子が何をした!

 出来ればこの子の両親だって助けてやりたかった、だけどそれはもう無理だ……この子だってまだ助かりきっていないんだ。

 なんなんだ、俺は。一体俺はなんなんだ。ドラゴンより酷いじゃないか。

 俺はこの子がこの村のどこかでドラゴンに殺される運命だったような気がしてならないのだ。様々な場所、様々な方法で。

 だけど俺の意思は違う。俺は絶対にこの子を死なせたくない。

 そう思い始めていた。

 

 試し読みはここまでです! 続きは作品ページをご覧ください!

感想

個人的に大好きな作品です(*´ω`*)

序盤はほのぼの、後半はシリアス。読みやすく、構成にメリハリのあるファンタジー小説。
恋愛というよりは「家族」に焦点が当たっています。

文量もほどよいので、是非最後まで読んで欲しいです!

実況朗読

※ネタバレを含みます!

異界のブレイドと始まりの村のモブ少女

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