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「婦好戦記〜最強の女将軍と最弱の巫女軍師〜」作者:佳穂 一二三様

小説
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こちらの記事は私が読んで「面白い」と思ったオススメのWeb小説をご紹介しようというものです!

第十三回は、佳穂 一二三様の「婦好戦記〜最強の女将軍と最弱の巫女軍師〜」です!

 

作品閲覧はこちらからどうぞ!

婦好戦記〜最強の女将軍と最弱の巫女軍師〜(挿絵あり)
残酷な描写あり ガールズラブ ヒストリカル 史実 女主人公 古代文字 史料極少ほぼ架空戦記 古代中国 書籍化 やや百合 漢詩 戦う巫女 軍師 女傑 後宮 中華ファンタジー マンガUP!賞1

あらすじ(作品より一部引用)

古代中国、殷王朝中後期。
王の妃でありながら、武器を取り、戦いに明け暮れた女性が実在した。
彼女の名は婦好(ふこう)。
婦好は女性でありながら、高い戦闘能力と統率力をもつ英雄である。

このころ『文字』は王室の秘密だった。

十四歳の乙女サクは幼少より『文字』を学ぶ。
サクは『文字』を覚えた罪を問われて婦好軍に入隊する。

やがて婦好とサクは中華の命運を握る存在へ──。

古代文字誕生の秘密。そして、誰も語ることのなかった英雄譚。

PV

婦好戦記―最強の女将軍と最弱の巫女軍師―(一)
婦好戦記 The Heroic Legend of Fu Hao -typeA-

(ノベルゲーム風)試し読み

 初めて出会ったのは、死の間際まぎわであった。

 ゆえに天の使者と見間違えたのは必然のように思う。

 その女性は、太陽を背にして現れた。

 髪は栗毛色、瞳は琥珀のような深い神秘性を持つ。歳は二十前後であろうか。

 深紅の衣が風に揺れる。女性らしい曲線を描いた肢体は、内側に強さを秘めていた。

 長身からあふれ出る陽の気が、神々しい。黄銅の馬車に乗り、二頭の馬は気高くいななく。

 黄金に光るえつが、己に襲いかかる盗賊の首をく。男の鮮血が散り、その頭は重さをもって地に転げ落ちた。

 命を、助けられた。

「そなたが、サクか」

 遠く響く声である。

 名を呼ばれて息を飲んだ。

「はい」

「間に合ってよかった」

 美しい女性から華の香がした。

 同時に、ふわりと身体が空に浮く。鍛えられた腕に非力な細い身体を抱かれ、恥ずかしさを覚える。

「ここに居なさい」

「あの」

 問いかけると、麗人の紅色の耳飾りが揺れた。

「わたしの名は婦好だ」

「婦好さま。あなたが」

 その名は以前より聞かされている。

 戦場に降り立つ王妃。

 己の、代々占いを嗜む者としての血が、確信をもって騒いだ。

 あなたは、ほかに並ぶ者のない女性。

 わたしは、この女性のすべてを見届けることになる。

 

 その頃、王とは、天意を預かる者であった。

 大邑商、のちの世では殷とも呼ばれた国は氏族の連合体である。

 『文字』は王が天との対話するために生み出されたものである。

 それが誕生するまで、この世のすべては言霊であった。

『文字』は十人の巫祝族の長のみに与えられた門外不出の秘術。

 しかし、一族のなかに、禁忌を破った娘がいた。

 十歳の頃、少女は家に秘密の地下室があることを見つける。

 地下室に治められた大量の甲骨には、不思議な文様が描かれていた。父に叱られるかもしれないという恐れよりも、この神秘のかたちに心奪われたのである。

 すべての図象を覚えたとき、サクは甲骨のひとつを持ち出し、父に打ち明けた。

「お父様、この亀の骨に書かれているのは」

「サク。それをどこから持ってきたのだ。元の場所へ戻しなさい」

「これは占卜の結果ですね」

「サク。そなた、まさか。知っているのか」

「……はい。はじめは神秘的な形に心惹かれるだけでした。しかし、何枚もの甲骨を眺めているうちに、その形の共通性を理解し、読めるようになったのです」

 サクの告白に、父は静かに告げた。

「サク。これは『文字』という。各巫祝の長にのみ読み書きすることを許される、王室の禁忌だ。禁忌を破り『文字』を知った者は死なねばならぬ。どうやら氏族の約束に従い、わたしは一人娘を殺さなければならないらしい。妻に先立たれ、お前だけがわたしに残された家族だというのに」

「お父様、申し訳ありません。わたしの好奇心が過ぎたばかりに」

 すこしの思案のあと、父の瞳に決意が宿る。

「いや。どうせ我が氏族の知見は断絶する運命だ。長は男子しか継げぬし、お前は一人娘。しかし、賢い。どうせ死んでしまうのなら、選びなさい。この場で一族の血を絶やし、父とともに死ぬか。文字を覚え、生きる道を探すか」

 サクは文字を覚えることを選んだ。

 文字に心奪われていたからである。父はそのことを秘密にしながら、十歳の娘に文字と学問を教えた。

 ある日、巫祝十氏族の長がサクの家を訪問した。

 巫祝十氏族の長は、サクの父を敵視する者である。

 サクの部屋の壁には文字の習練の跡が無数に残されていたのである。

「この娘、文字を知っているのだな?」

 巫祝十氏族の長は、にたり、とした。

 これでやっとこの男を引きずり下ろす名目を得ることができる、という醜悪なる笑みである。

「女の身で王室の禁忌に触れるとは。その罪、死をもって償え」

 サクの父は命乞いをする。

「お待ちください。それならば、わたしに処分を。そして娘を婦好軍ふこうぐんに」

「婦好軍、か。それは死も同然。いや、死よりも辛い目に遭うやもしれぬ、な」

 サクが文字を覚えたことで、父は罪人となった。

 そして、サク自身も死をまぬがれたが、商王の妃である婦好に仕えることとなったのである。サクは出立の際、父との別離の儀式を許された。

「お父さま、申し訳ありません」

「こうなることはわかっていたこと。そもそも、我々は死人だった。そなたが文字を手にしたその時、殺さねばならなかったのだ」

 父は娘の頬をつたう涙をぬぐう。

「しかし、愛する娘を殺せるわけがない。それに、わたしはそなたの運命を知っている。そなたは、」

 この後の言葉は、サクには聞き取れなかった。二人は引き裂かれ、父は牢獄へ、サクは戦場への馬車に乗せられた。

 伝わらずとも、父は確かに云ったのだ。

『おまえは天をも動かす宿命をもって生まれたのだ』と。

 

 サクは馬車に揺られていた。

 老臣との約束のとおり、商王の妃である婦好のもとへ仕えるためである。

 父と別れてから、六日が過ぎた。

 ――お父さまはなんと言いかけたのだろう。

 馬車の籠に、頭を預ける。

 道は平坦ではない。車輪は大きな石に捉えられ、いくども跳ねる。

 サクの身体はすでに何度も馬車の籠に打ちつけられ、臀部でんぶの感覚は麻痺していた。

(これからどのような方にお会いするのか。お父さまの命は助かったのか)

 サクは目の前の女性に聞いた。

「婦好さまとはどのような方でしょう」

「懐の深いお方です。どうか、安心なさって」

 目の前にいる女性は、サクの案内役の女兵士である。目尻の下がる、ふくよかな女性だ。

 婦好軍のことはサクも父から聞いていた。商王の王妃が女性のみの兵士を率いる軍隊だという。王妃の名は、婦好。女性でありながら大邑商の将軍のなかで最も商王に信頼されている。

 ――婦好軍に入る。

 サクは、己の非力な腕を眺めた。

 武術を修めているわけではない。十四このとしになるまで父より占卜のための学問を教わるが、家からはほとんど出たことはなく、運動は苦手である。

 ――わたしのような者がなんの役に立つのだろうか。兵士として戦うのだろうか。文字を覚えたことは死を招き、父はわたしを救ったが、単に死に方が変わっただけだろうか。

 戦場への不安はぐるぐると巡り続ける。サクは深いため息をついた。

「この丘の先を抜けると、婦好軍の本陣があります」と、ふくよかな女性はにこやかに告げる。

「もうすぐですね」

 サクが返事をしたあと、しばらく沈黙のときが流れる。

 左右に揺れる馬車の中で、サクは睡魔に襲われた。六日ほどかけて移動を続けていたために、サクの体力は限界だったのである。

 サクはいつのまにか、うたた寝をし、深い眠りについていた。

 サクが気がつくと、馬車が止まっていた。

 さきほどまで会話をしていた、目の前の女性の首が失われている。

 力任せに抉られたのか、頭部のあった首回りには皮膚と骨が残っていた。

「……っ!」

 馬車が血であふれている。サクの衣服にも血がじわじわと登るように染みていた。

「起きたか、むすめよ」

 髭面の男が馬を操りながらにやりと汚らしく笑った。

 ――盗賊……? 四人、五人? いいえ、もっと多い……!

 盗賊らしき集団に囲まれている。

 彼らの髪は乱れ、着たきりの粗野な裾からは日焼けした肌がむき出しとなっている。

「この馬車とともに、お前ももらおう。乙女なら使い道がありそうだ」

 サクは急いで馬車から降り、逃げようとした。

 しかし、衣服に付着した血糊が、馬車の籠に貼りついてサクを離さない。

 (……誰か!)

 サクが叫ぼうとしたそのときであった。

「そのむすめは、わたしのものだ」

 清涼なる声が、澄んだ空に響く。

 かの人は、乾いた丘陵の頂に現れた。

 陽の白さを纏っていて、サクからはぼんやりとしか見えない。

 紅の馬車が丘を駆けおりた。戦車と同じ色の衣を纏った人物が、サクのほうへ向かってくる。

 空に鈍い音が満ちた。

 いつのまにか髭面の男の身体は馬車から投げ出されていた。

 短髪の女兵士が、賊を矛で一撃のもと、いだのである。

 人間から流れ落ちる液体が、サクの視界を覆ったと思ったのもつかの間、黄金の刃物が、空を切り、朱色の飛沫を散らす。

 サクの身体は麗人の腕に抱かれていた。

 紅色の裾が風を含んで華麗にゆれる。

 その人は栗毛色くりげいろの髪に薄茶色うすちゃいろの瞳をしていた。

「そなたが、サクか」

「はい」

 まるで時が止まったかのようである。サクは緊張のあまり、短い返事しかできなかった。

 その様子に、強く美しい人が、ふ、と笑みをこぼす。「間に合ってよかった」

 その人はまるで蜜のように甘い声を奏でて、サクを優しく馬車のなかに保護する。サクの胸元は何者かに縛られたかのように苦しくなった。

「ここに居なさい」と言うや、サクへ向けた優しさとは一転して、将軍としての覇気でその場を制す。

「あの」サクの身体から、か細い声がやっと出た。瞳を合わせると、深紅の耳飾りが揺れる。

「わたしの名は、婦好」

「あなたが、婦好さま」

 味わったことのない胸の鼓動を抱えて、サクは己の名を伝えた。

「わたくしは、サクでございます」

「サク。禁を犯した乙女よ。話には聞いている。これより、わたしに仕えよ」

 

 試し読みはここまでです! 続きは作品ページをご覧ください!

感想

本作を紹介するには、知識不足な気がしますが、頑張って書きます!

まず本作は、歴史に実在した人物とオリジナルキャラクターが出会いと邂逅の様子が描かれています。ジャンルは「歴史」、舞台は「中国王朝」。

作品の特徴として、非常に読みやすいです! 歴史というよりファンタジーとして読んでも遜色ないレベルでしょう!

歴史好きは勿論、馴染みが無い方にも一度読んでいただきたい内容となっております!

書籍情報

実況朗読

※ネタバレを含みます!

婦好戦記〜最強の女将軍と最弱の巫女軍師〜

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